個人的な独断と偏見による選手紹介です。
ここに来るってことは大体知っている人がほとんどだと思うんですが、人どれぞれ感じ方は違うと思うので、アマゾンの中の1本の木の見方だと思って気軽に見ててください。
◎ジェロム・レ・バンナ…
99年K-1GP決勝大会で当時、全盛期を迎え破竹の連勝中だったピーター・アーツを劇的逆転勝利で破った事で 一躍格闘技界最大の人気選手に躍り出る。以後、掠っただけで対戦相手を失神させるという人間離れした破壊力の打撃でノックアウトを続け活躍。
左ストレートを武器にピーター・アーツ、アーネスト・ホーストなど数々の選手をKOし、ハイパーバトルサイボーグと呼ばれている。最近では、パンチだけではなくキックも習得し2002年のK-1グランプリでは準優勝を果たした。また、実力はまさにトップレベルだがK-1では一度も優勝していないことから「無冠の帝王」、圧倒的な攻撃力からくる高い実力や強面の顔から「K-1の番長」とも呼ばれている。本人は番長と呼ばれる事を気に入っているようだ。
2002GP決勝戦でアーネスト・ホーストのミドルキックを受けて左腕を粉砕骨折するというアスリートとしては致命的な悲劇にみまわれる。骨折後、骨折前にみられた豪快な左ストレートは鳴りを潜め、主力武器といえるほど多用していたワン・ツーが殆ど見られなくなった。しかし、左ストレートが使えなくなったことで、キックや右ストレートを習得し多彩なファイトスタイルが生まれ、良くも悪くも今までとは一味違うバンナに成長した。
気性の荒い性格でプライベートではK-1選手のシリル・アビディと殴り合いをしたことも。喧嘩では負けたらしいが、2005年のパリ大会ではシリル・アビディに5RTKO勝利で勝利し屈辱をはらしたこの試合はただの殴り合いになるのではないかと予想されていたが、お互いにリングの上では正々堂々試合し、K-1史に残る素晴らしい試合になった。
セーム・シュルトに対抗できるのはもうこの男しかいないのではないか…。と、思わせる。これまでのキャリアもさることながら、これからの活躍も期待できる。まさにイチオシの選手だ。
◎ピーター・アーツ…
ブルース・リーに衝撃を受け、13歳でテコンドーを、14歳でキックボクシングを始める。
K-1への参戦は1993年。ハイキックを武器にK-1グランプリ1994、1995と2連覇した。一時はスランプに苦しんだが、1998年にブランコ・シカティックに続く全試合1ラウンドKO勝利で復活優勝を果たし前人未到の3回の優勝を成し遂げ20世紀最強の暴君と呼ばれた。最近はなかなか結果を出せずにいるが、グランプリ決勝トーナメントには初年度から13年連続出場するというとんでもない記録を打ち立てている。
2005年GPではバンナに勝利、2006年3月にはセームシュルトに初めて黒星を付け。王者復活の時も近い。
アーツの強い理由、それは・・・。試合はこびの上手さ、冷静な判断。これに尽きる。もちろんアーツのキックは超一流だし、パンチもなかなかの物を持っている。実際、K-1参戦当時は、ハイキックでブイブイ言わせていたわけだが、アーツと同じくらい、もしくはそれ以上の打撃を持った選手がちょこちょこ出てきたのにつれて、アーツの活躍は陰を潜めいった。
何年か、K-1の第一線から離れかけていたのだが、ここ最近息を吹き返してきた。年齢的には完全にベテランの域になったアーツだが、ハイキックに変わる新しい武器を見つけたのだ。それが、経験と知識からなる冷静な判断と試合運び。
もうアーツの選手生命は長くはないが、バンナ,シュルト戦でのアーツを見ていると、まだアーツの時代は終わってないと思わせる。
なお、同じK-1ファイターで空手家のアンディ・フグとは親友であり、彼の死に際して号泣する姿は印象的であった。