満足度:
★★★★★ 5/5
「週刊少年ジャンプ」誌上において1995年42号から1997年3・4合併まで、ジャンプとしては異例の月1連載で全16話を掲載。『幽☆遊☆白書』に続く、作者3作目となる連載作品。単行本はジャンプコミックスより全3巻。『アシスタントを使わず一人で描いたらどうなるか』ということに挑戦した作品であるため、月1での連載となった。
作者の出身地である山形県を基本舞台に、作者自身の趣味であるオカルト的な要素の強い、宇宙人を題材としたSF作品。地球にやって来たドグラ星のバカ王子が暇つぶしに起こす悪ふざけを軸とした物語がオムニバス形式で展開される。
全3巻と短い作品ながらも、設定・アイデア共によく練り込み詰め込んである為読み応えがあり、またシリアスとギャグのバランスがよく、常に読者の裏をかく展開の面白さから、連載当時より人気が高かったが、現在においてもカルト的な人気を誇り、作者の最高傑作に挙げる人も多い。
バカ王子に対して発せられた「あいつの場合に限って 常に最悪のケースを想定しろ 奴は必ずその少し斜め上を行く!! 」の台詞は有名で、ネット上を始めとして様々な分野で用いられる表現となった。
(以上ウィキペディアより。)
これほど完成された少年漫画には出合ったことがない。間違いなく富樫さんの最高傑作だと思っています。
意表をつくストーリー展開、シュールなギャグ、サスペンス、ミステリー、SF、シリアス、コミカル。様々な要素が異様なバランスを保って崩れない。かなりクォリティの高い作品です。
奇想天外な物語だが、内容がしっかりと練られているので、全体の骨格がしっかりとしている。なので、独自の理論を展開していたり、説明文がやたらと長いシーンでも非常にスムーズに読むことが出来る。 また、小説などでは表現しにくい様な事柄が、リアルな絵で表現されている。
参考にと、『HUNTER×HUNTER』と『幽☆遊☆白書』を全巻読んでみたが、比べると圧倒的に『レベルE』が面白かった。『レベルE』は彼の代表作である上記の二つの作品とは少々異質なものなのです。『ドラゴンボール』や『聖闘士星矢』風の作風であった『幽☆遊☆白書』から一変、オカルトチックなサイコサスペンス&ギャグに。
『幽☆遊☆白書』では主人公の成長過程の描写が殆ど無く、行き当たりばったりで全く説得力のない作品(いわいる”少年漫画”)に感じたが、本作では綿密に練られたストーリーと納得のいく設定により、非常に説得力のある作品に感じられる。
また、『HUNTER×HUNTER』では独自の世界感を取り入れ、主人公やその周りのキャラクターの成長過程や過去設定が非常に細かく表現され、「ストーリーの綿密さ」「説得力」ともに非常に完成度が高い。それでいて少年漫画としてのエンターテインメント性を融合させた、異例の作品と言える。少年漫画としてはずば抜けてクォリティの高い作品でした。それこそ『ヒカルの碁』に匹敵するほどに。
・・・しかし、最近の展開には少し腑に落ちない部分があります。 まずはバトルについて。長い期間をかけ形成された「念」という概念がおろそかになってきた気がします。22巻の旅団メンバーの能力や23巻のオロソ兄妹の力など、もはや四大行の流れや論理的な組み立てが感じられません(フェイタンの能力など王や親衛隊に楽々勝てるのでは?と思ってしまいます)。
もう一つは、キャラの魅力が少なくなってきたこと。ネフェルピトーなど、いきなり出てきて、とにかく凄いオーラだなどと言われても、いまいち強さもピンとこないし惹かれません。全体的に少し詰めが甘く、収集のつかない感じになってきているように思います。
さらに、背景を省いたり、書いてもネーム程度。もはや作画崩壊と言っても過言ではない状態。
少し長くなってしまいましたが、要は「終わり時を見失った」、「もしくは話も大きくしすぎて収集がつかなくなった」ということです。
しかし、『レベルE』は全3巻とコンパクト。それでいて内容が濃く、収集がつかなくなるということは無かった。作画もわりと手が込んでいます。
どの角度から見ても落ち目がない作品というのは本当に滅多にない。オカルトやサイコ系が嫌いな人にはちょっと苦手かもしれないが、そういう人以外には自信を持ってオススメする。